大陽日酸がつくっている産業ガス。といっても、皆さんにとってあまり馴染みがないと思います。
でも実は、身近なところで人々の生活の役に立っています。
今やほとんどの人が持っているスマートフォン。内部にはたくさんの半導体が組み込まれています。ガスは半導体をつくるために欠かせないもの。およそ30種類のガスが半導体の製造工程で使われているといわれています。ほかにも液晶や太陽電池、LEDなど、エレクトロニクス分野の発展を支え、便利な世の中を創造しています。
実は、半導体の製造装置もつくっています
単体の元素で構成される半導体を「元素半導体」と呼びます。それに対し、複数の元素の材料を組み合わせてつくる半導体を「化合物半導体」と呼びます。化合物半導体は高速動作や高耐熱性、低消費電力など、日々進化を遂げるスマートフォンにとって重要な性能を有しています。大陽日酸は化合物半導体の製造に欠かせない「MOCVD」と呼ばれる製造装置を開発し、グローバル市場を牽引しています。
スーパーで売られているポテトチップスやお肉、あるいはジュース。そんな身近なものにもガスは貢献しています。型崩れを防いで食感を守る、酸化や細菌の繁殖を防ぐ、シュワッとした爽快な飲み心地を生み出す──。ガスを用いることでさまざまなメリットが生まれます。「食べ物・飲み物」と「ガス」は切っても切れない関係です。
酸素でウナギがウマくなる?
酸素は養殖分野(陸上・洋上)にも貢献しています。欧州ではサーモン、アジアではエビ、日本でもウナギやニジマス、サケなどを養殖する際に、水中の溶存酸素濃度を高めることで生育促進につなげています。「おいしい」のために欠かせないもの。それが酸素です。
皆さんが普段見たり乗ったりするタクシー。そのほとんどは、ガソリンではなく「LPガス(液化石油ガス)」で動いています。また、昨今注目を集める燃料電池自動車。これは水素と酸素の化学反応によって生じる電気エネルギーによって動きます。これらは環境にやさしいエネルギーとして、今後より一層の用途拡大が期待されています。
「動かす」だけじゃない。
「つくる」ためにも必要です
大陽日酸は「自動車づくり」にも一役買っています。自動車は金属を熱で処理したり、溶接したり、切断したり、さまざまな加工を重ねて形づくられていきます。ガスはそれらの工程に必要不可欠。とりわけ酸素・窒素・アルゴンが自動車づくりに貢献しています。自動車のみならず、世の中のありとあらゆるメーカーのモノづくりにとって重要な役目を果たしています。
医療分野でも、大陽日酸のつくるガスは活躍しています。人工呼吸に必要な酸素をはじめ、レーザーメスに使われる炭酸ガス、生命細胞やワクチン、血液を長期間保存するための窒素、はたまた麻酔用として用いられている亜酸化窒素など。さまざまな場面で、人々の命や健康を守っています。
この技術、オンリーワン
「ポジトロン断層撮影(PET)」と呼ばれる、がんの診断方法があります。痛みがなく短時間で完了し、小さながんも早期に見つけることができるため、近年注目を集めています。大陽日酸はPETの診断薬の原料である「Water-18O」の国内唯一のメーカーです。2004年の発売以来、30カ国以上に供給し、世界中のがん診療に貢献しています。
ほかにも、さまざまなところで
産業ガスはみんなの生活を支えています
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照明器具
白熱電球や蛍光灯の放電管など、世の中のほとんどの照明にガスが使われています。具体的にはアルゴン、窒素、ネオン、クリプトン、キセノンなど。ちなみにネオン、クリプトン、キセノンは空気中にわずかしか存在しないため、「レアガス(Rare Gas)」とも呼ばれています。
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スプレー
ヘアスプレーや殺虫剤、制汗剤にもガスは欠かせません。液化ガスの気化、あるいは圧縮ガスの圧力によって、内容物がバルブを通って容器から霧状や泡(フォーム)状で放出されます。
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ガスコンロ
LPガスは、一般家庭用や業務用のガスコンロにも使われています。ほかにも、オフィスの冷暖房の空調から、自家発電や排熱を利用した給湯、はたまたオリンピックの聖火にいたるまで、用途はさまざまです。
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美術品
絵画などの美術品をきれいに保管するためにガスを用います。窒素ガスを利用して、劣化を防いでいます。そのほか証券や株券といった印刷物などの貴重品の酸化防止に、窒素ガスは貢献しています。
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消化器
消化器には、消火剤として炭酸ガスが用いられています。地球温暖化を防ぐために、従来消火剤として使われていたハロンガスが規制され、炭酸ガス消火器の需要が高まっています。
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ドライアイス
炭酸ガスを圧縮・冷却したドライアイスは、-78.5℃の超低温の冷却力を生かし、食品や工業分野で活躍しています。ちなみに、テレビ番組の演出でよく見る「スモーク」。あれも炭酸ガスでできています。
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超電導リニアモーターカー
電気抵抗をゼロにする技術「超電導」にもガスが生かされています。その応用分野は核融合、超電導送電、電力貯蔵、リニアモーターカー、超電導船など多岐にわたります。
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大型ビジョンディスプレイ
大型ビジョンのディスプレイ・信号機・街灯など、私たちにとって身近な存在である発光ダイオード(LED)。その製造時に水素やアルゴン、ヘリウムといった特殊ガスが使われています。
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マリンスポーツ
ダイビングで用いる酸素ボンベにもガスは使われています。また深海探査では、酸素をベースに深度に応じて窒素、ヘリウム、水素などを混合して用いられています。
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ロケット
通信・放送衛星や気象衛星を打ち上げるロケットの推進剤には、液化酸素・液化窒素が使われています。高温・高圧の燃焼ガスを噴射口から高速噴出し、その反作用によってロケットは推進します。