2021年 入社/工学研究科 機械創造工学専攻 修了
機械創造工学を専攻し、水素燃焼について研究しました。近年、水素は燃焼時にCO2を排出しないクリーンエネルギーとして大きな注目を集めています。一方で、従来の炭化水素系燃料に比べて燃焼速度が速く、工業的な利用は難しいという側面もあります。私は水素の安全利用とさらなる利用促進を目的として、水素が燃焼される際の動きに関する研究を、実験と数値解析の両面から行っていました。うまくいくことばかりではありませんでしたが、葛藤から得た知識は現在の業務にも役立っていると感じます。
大陽日酸を知ったきっかけは、学生時代の通学路です。ある工場の敷地内に背の高いガスタンクがあって、そこに印字されていたのが大陽日酸のロゴマークでした。何をやっている企業なのか知りませんでしたが、調べてみると国内屈指の産業ガスメーカーであることを知りました。就職活動では大学時代に学んでいた水素燃焼に関する知識を生かすため、燃焼技術を扱う自動車メーカーや重工系メーカーを中心に見ていましたが、偶然にも大陽日酸の山梨研究所(現:山梨ソリューションセンター)が燃焼技術に関して研究していることを知りました。インターンシップに参加し、大陽日酸の燃焼技術に関する歴史を知り、入社を決意しました。
酸素燃焼開発部は酸素の新たな需要創出を目的として、酸素燃焼技術の研究や製品開発、製品の顧客導入を行う部署です。大陽日酸内でも稀な、研究からエンジニアリングまで一貫して行う部署であり、皆で力を合わせて業務に取り組んでいます。私はカーボンフリー燃料を用いた酸素燃焼技術の開発を担っています。比較的新しい分野ということもあり学びの連続ですが、持続可能な社会の実現に貢献できるやりがいを実感しています。
研究開発で使うバーナーや実験炉などの実験装置を製作する際、CADを用いた製作図面をつくり、外部の金属加工会社に依頼します。配属直後は製図の知識が浅く、金属加工会社とのやりとりも十分できない状況でしたが、先輩にサポートしてもらいながら、基本的な設計であれば一人でできるようになりました。さまざまな困難を乗り越え、一から設計した実験装置が完成したときは大きなやりがいを感じます。
新人の頃、燃焼試験を行っていたときにトラブルが発生し、試験装置を緊急停止したことがあります。想定外の出来事を前にして、私は何もできませんでした。そんな中、焦ることなく的確に対応している上司。その背中をただ見ていることしかできないあのときの悔しさは、今でも忘れられません。上司の背中から学んだのは、トラブルが発生した際はまずは冷静になり、現象を的確に把握して最適解を探ること。今でも大切にしている仕事への取り組み方です。
自らのアイデアで新たな製品を提案・実証し、設備納入まで一貫してこなせる技術者になりたいです。そのためには研究者としての思考力はもちろん、エンジニアリング力、顧客ニーズを発掘する対話力など、さまざまなスキルが必要です。配属以来がむしゃらに業務を行ってきましたが、まだまだ部署内の先輩方には遠く及びません。これからも地道にそれぞれの力を伸ばし、一人前の技術者になれるよう日々の業務を取り組みたいと思っています。
2019年 入社